《MUMEI》

「すぐに済ませるからここで待ってて」と優子に言われ、かわいらしいファンシーなお店で待たされた。ここは、男子だけでは入りにくい場所だから、男性客が少ない。
なんだかんだ言って私の気持ちを考えてくれる優子はやっぱり好きだと思った。優子のカモを少し見たかったが、失神しては困ると思っておとなしく待っていた。



30分後くらいに優子が戻ってきた。ちゃっかり、服も買ってもらっていた。
バカだね…今回のカモは特に。

「じゃぁ行こうか。」

そう言うや否や、優子は力強く腕を掴むと、勢いよく走り出した。
陸上部だった優子の走りは半端なく、私の足が何度かもつれて転びそうだった。




少し余裕が出てきたので、辺りを見渡した。そこであることに気づく。


ここ…カラオケに向かう道じゃないです。
てか道と言えば道だけど、遠回りしてるように思えるんですが…。


駅が見えてくる。そうすると優子の足がだんだんと遅くなり、やがて止まった。
私は息を整えながら、ゆっくりと顔を上げた。
そこにいたのは、予想通りの男子軍団。その中に徳山もいた。
女子もあと二人いて、どちらも同じクラスだった。そのうちの一人が綾音である。
4対4の合コンらしく、私の思考回路はその時点で停止した。

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