《MUMEI》

 ‥離陸のアナウンスが流れる。




 それから間もなくして、機体が浮いた。




「うわぁ、たっかいねー♪」




 ミドリは、すっかり旅行気分みたい。




「ほらっ、あそこ学校だよ!」

「石井‥少しは黙っていられないのか」

「だって楽しいじゃん♪」

「──‥元巫女の威厳はどこへやら」

「人の事言える?」

「‥煩いな‥」

「な‥菜畑君、ミドリも喧嘩しないで‥」

「喧嘩はしていない。僕は只‥注意をしただけだ」




 菜畑君は、また窓の方を見る。




「雲が出てきたな‥」

「──ぁ‥ほんとだ‥」

「雨‥振るのかな‥」

「‥‥‥向こうに着く頃には晴れるだろう」

「──うん、そうだね」

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