《MUMEI》 第二章 親睦携帯が鳴った。 私はメールを確認する。 「何?拓也様からおメールかしら?」 優子が私の携帯をのぞく。 「ちょ、拓也様って…私成田のファンじゃないんですけど。」 「へー、そーでちゅかー。まぁ頑張ってフェロモンでも何でも出して来い。」 「優子じゃないんだからホイホイ出せるわけないし。だいたい、そんなの出したくないし。」 私は優子に食ってかかる。 そんな私を優子はすんなりとかわす。 「じゃ、楽しんできて。」 その言葉に送り出されて私は教室を出た。 成田は、私たち1年B組の隣のクラスの1年C組で、徳山と同じでサッカーをしている。 優子曰く、成田と徳山はサッカー部の中で、いや学校中で一、二を争うイケメン二人組とまで言われている。 その二人それぞれにできたファンクラブの会員の数は数え切れなく、成田を拓也様=A徳山を龍太様≠ニ言って、たたえているらしい。 実際にそう呼ばれているのを聞いたことがある。 あの合コン以来、お互い語りたいことがあったらメールをし、相手の都合と一致すれば、会うようにしていた。 「お、田中。」 屋上に着くと、成田が既に待っていた。 「待たせた?」 「いや。」 「あそ。で、どした?」 成田は腰を下ろした。私も腰を下ろす。 もちろん、1メートル離れたところで。 「俺って何で合コンに連れて行かれてしまうんだろうか。」 その心の叫びに共感する。 だって、いつも行きたくないと思っているのに、飽きもせず、騙されてしまうから。 「なーんか、仲間と遊ぶ約束して、気づいたらいつも合コンなんだよなー。」 「まー、ホモだから仕方ないでしょ。」 その言葉に成田がキレる。 「ホモじゃねーよ。てか、おまえ自称阿部の愛人だろ?」 からかい口調だった私の口調は、一気にきつくなる。 「はぁ?何それ。優子関係ないし。それに私そんな趣味じゃないし。」 「じゃあ、どういう趣味だよ。」 「どうって…どうもこうもないわっ。」 「はぁー?」 こうして口論になり、昼休みが終わった。 前へ |次へ |
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