《MUMEI》 義仲は美しいほほ笑みを浮かべ、群衆に手を振ってみせた。 途端、女どもの黄色い声が聞こえる。 「義仲くぅ〜ん!」 「やくざのフリ、リアルだったよ〜!!」 「や〜ん、こっち向いて〜!?」 ………まるで、アイドルの追っかけだ。 てか、皆さん、聞いてなかったんですか? 彼、マジでやくざの子供らしいですよっ!? フリじゃなくて、リアルらしいですよっ!? 大丈夫デスカー!? わかってマスカー!! 女どものバカっぽさに呆れていると、 川崎先生の声が聞こえてきた。 「俺たちのこと、バレてないみたいですね……」 「あいつら、アホだからなぁ」 笑みを崩さず、義仲が答えた。川崎先生はため息をつく。 「正体がバレたら、この学園にいられなくなりますよ」 「それは、おまえも同じだろ」 そのやり取りを聞いて、 わたしの目が輝いた。 ………いいこと聞いちゃった♪ . 前へ |次へ |
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