《MUMEI》

掃除班は主に出席番号順の6人で構成されているから、徳山はもちろん、綾音もメンバーに入っていた。
比較的サボらない人たちの集まりだったから、思ったより早く終わりそうだった。

私は徳山と綾音を見た。
優子が言っていた徳山と綾音の関係が気になったのだった。
二人はいい感じに仲良く話していて、両思いになる感じまでいっているような気がした。

綾音は笑うたびに徳山の肩にボディタッチをする。
綾音にそんなことをされたら誰でも好きになるに決まっていた。
それは顔がかわいいというのもあるが、それ以上に性格が良いのだ。

この間、私がお金が足りなくて困っている時に、何も言わずとも貸してくれた。
こんなに気の利く人はいないんじゃないかと思った。


ずっと眺めていたのだろうか。徳山と目が合った。
私は目を思い切り逸らした。
だが、徳山はそれに構わず、私の方へと歩み寄った。

いきなりの行動に驚いたのか、綾音が慌てて徳山の跡を追う。

私は後ずさりをしようとしたが、後ろを壁に挟まれて身動きがとれない。
このままでは確実に気絶しそうだった。

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