《MUMEI》

川崎先生はレンズ越しに、呆れたような目をむけてきた。


「君、ついて来たのか……」


わたしは、おほほほ!と、曖昧に笑って見せる。先生はため息をひとつついてから、まあいい……と呟き、わたしの顔を睨んだ。


「今日のことは、君の胸にしまっておくんだな。下手な真似したら、いくら生徒でもただじゃおかない」




………脅迫されまちた………。




でも、わたしは負けない。


フッと唇にほほ笑みを浮かべた。それから義仲と川崎先生の顔を正面から見据える。


「わたしにそんなデカイ態度取って、いいのかしらぁ?」


川崎先生の顔が険しくなった。

こ、怖いけど、怯むもんか!!

わたしは高らかに言い放つ。


「わたしが、あんたたちの正体を言い触らしたら、もうここにはいられなくなるわよ?だったら、もっと考えて口をきいたらどうなのォ?」


なにも言い返せないのか、先生は悔しそうにわたしを睨んでいた。
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