《MUMEI》 忍の目的俺が部屋に入ると、忍は車のキーを持ち、立ち上がった。 「帰るのか?」 「目的は済んだからな」 (やっぱり隣が気になったのか) この時、俺は忍の目的はエイミー達への挨拶の事だと思った。 「本当は会ってたんだろう?」 「昔、一度だけだ。話もしていない」 俺の質問に、忍は意外にもあっさり答えた。 (誤魔化すかと思ったのに) 「何だ?」 「あ、いや」 「それに、思ったより似てないから、愛想笑い位はできたしな」 「…そうか」 (あれでも頑張ってたんだな) 「じゃあな、祐也」 忍は俺の髪の毛をグシャグシャにして帰っていった。 「…何だ、これ」 髪の毛を直そうと、洗面所に入った時、小さな箱が目に入った。 それが、忍から俺への誕生日プレゼントで 忍が昔使っていた腕時計を俺用に直した物だと気付いたのは 忍が帰ってからだった。 「ぴったりすぎて怖い…」 今までしていた安物の腕時計から、有名ブランドのそれにつけかえた時の、俺の最初の感想はそれだった。 そして、そのまま俺は今日も頼とエイミーと一緒に学校に向かった。 前へ |次へ |
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