《MUMEI》

生き物を飼うのは楽しい。

先ず、癒しになる。
私によく懐く猫は可愛いもので、艶子を育てるより遥かに夢中にさせた。

歌一を亡くしてから艶子に失敗し、失望していた私を照らしたのは猫だった。

先生が私に遺した希望の柘榴だ。

艶子だった女は日に日に私を失望させるばかりだ。
此の世に聖女は居ない。
私は艶子だったものを村に帰すことにする。
見張りとして松子も追いやれて都合が良かった。
彼女はどうも生前のあの書生の……否、“歌一”の理屈っぽい厭味さを持っていて不愉快だった。文才だけは評価してもいいだろう。

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