《MUMEI》 頑丈な騎士「はぁはぁ・・流石にこれは撃ち落せないだろ。」 魔力を大量消費し、膝をつく琴。 「油断するな、ごま副団長がこの程度だとは思えない・・」 荒く息をしながら式夜が横に立つと刀を構える。 「解ってるけどよ・・魔力使いすぎた・・」 立ち上がり弓を構えるが、足がふらついている。 「驚いたきゅ〜。」 笑いすら零しながらごまが動く。 ギギギギ・・・ と鎧が軋み音を上げる。 「ちょっと動きにくいかも・・」 剣を構えなおす動作をしながら、ごまが全身に魔力を行き渡らせる。 暗緑色の燐光がごまを包み、鎧に突き刺さっていた矢が次々と砕け、地面へと落ちていく。 「無傷・・・なのか?」 「牙を!」 「起動。」 呆然と呟く琴。その横で瞬動を発動し、一瞬で間合いを詰める式夜。 「空牙・・」 「甘いよ〜」 真正面から瞬動の速度をそのままに使った突きを放つが、ごまが剣で横へと逸らす。 ごまの鎧をわずかに抉りながら後方へと抜けていく。 ごまの横を抜け、背後2メートルの辺りに着地、地面が爆ぜる。 「絶翔!!」 反転し、瞬動を発動。 ビキ・・ 初撃よりも疾く鋭い突き。ごまは背を向けたまま・・大きく縦に剣を振るう。 背後も確認せずに振るった一撃は正確に式夜の突きを止めていた。 激しく火花が飛び散り、刀と剣が衝突する・・ 衝撃に耐え切れず式夜の手から刀が吹き飛び、ごまの体も3メートルほど地面を滑る。 勢いを殺しきれず、地面を転がっていく式夜。 キィィィン・・・ 遅れて音が高く響く。 トスッと軽い音を立て、地面に突き立つ夕凪。 「この技でさえ・・・止めますか・・・悔しいな・・・」 木に寄りかかりながら立ち上がろうとする式夜。 「・・止めないと鎧なんて簡単に貫通するじゃん。痛いのは嫌いだからね〜」 式夜の方を見ながら笑うごま。と・・ごまの右手から剣が落ちる。 「あれ・・?手がビリビリするきゅ〜」 右手を閉じたり開いたり、しながら首を傾げる。 はぁ・・と大きく息をつき、そのまま木に寄りかかって座る式夜。 「その程度で済むんですか・・」 諦めたように言葉を漏らす。 前へ |次へ |
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