《MUMEI》
痴話喧嘩
学校に着いた俺達は、駐輪場に自転車を置いた。


置かれた自転車は、俺と頼の二台だけで


エイミーは、頼の後ろに乗って登校していた。


[私も自転車買ったのに]

[俺がエイミーを乗せたいから]


(バカップル…)


呆れる俺に、頼は真剣な表情で言った。


[祐也、忍をちゃんとつかまえててよ。エイミーくどかないように]


(ありえないから、それ…)


俺は呆れて何も言えなかった。


[わかった!?]


返事をしない俺に、頼はいらついているようだった。


[もう、頼! 祐也が困ってるじゃない]

[だって、忍、祐也の彼氏なのにエイミー口説いたって…]

[あれは兄さんが大袈裟に言っただけ!]

[でも、エイミー、赤くなったって…]

[そ、それは…]


(とりあえず、誤解だけ解くか)


ややこしい事態を避ける為に、俺は口を開こうとした。


「あ、いたいた! 祐也、久しぶり!」

「…志貴?」


(何でここに?)


春休みに入って初めて見る志貴の姿に俺は戸惑い


[…誰?]


頼と痴話喧嘩をしていたエイミーは、初めて会う志貴に興味を示していた。

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