《MUMEI》

「‥そんな事が‥あったの‥?」

「‥‥‥‥‥‥‥」



 菜畑君は、微かに頷いた。




「なるほどね──」




 そう呟いたのは、ミドリだった。




「‥だから変な感じがしてたんだ──」

「ぇ‥?」

「菜畑君が持って生まれた記憶、それをコノハ様の魂が隠してたんだよ、たぶん」

「ぇ‥、どういう──」

「今の自分と昔の自分、二人の自分が、あたし達の中にはいる訳で──だから‥」

「それぞれは同じであって、同じではない」

「ぁ‥、そう、そういう事」

「───────」




 そうなら、私が夢を見たりしたのも、うづきが黄羽様を想い続けていたから‥。




「ねぇ、あたしちょっと向こうの方行ってみていい?」

「ぇ、うん‥」




 どうしたんだろう、ミドリ──。

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