《MUMEI》 アラタの帰宅時間は平均していた。 殺風景な玄関に靴を左側へ配置する。 先客がいるようだ。 「うわ、なんでいる」 「白縫…… 顔見たくなって」 燈影が部屋の真ん中に立っていた。 アラタの手を握ろうとするも避けられる。 「触るなって、ああもう……」 アラタをベッドまで引きずり込む。 覆いかぶさり、両手の手袋と接触する。 燈影と視線がぶつかった。「弱ってる」 アラタは燈影の異変に気が付く。 「気付いているんだろう?死体が、見つかった。 首が無いんだ。 小指も無かったらしい …………煉獄、お遊びが過ぎるんじゃないか?」 「は? 殺しの連絡来てないのに疑ってるの」 「だって小指」 「違うって言ってたよ。 俺は煉獄を信じる」 「だって、だって、 小指取ったとき顔を見られて証拠隠滅したって考えた方が……」 「お前のペラい推測より煉獄を信じる」 今の会話で燈影の温度が上がってゆくのが分かる。 顔を歪ませ、アラタの唇を無理矢理塞いだ。 アラタは燈影の腹を蹴る。 「ング………っ」 更に悲痛な顔に象った。 唇が離れた。 前へ |次へ |
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