《MUMEI》

ベッドにアラタは横たわり、燈影は足元で土下座した。
「………ごめんなさい」


「そんなもので赦されるとでも?」


「怖く、ないの?
何か別の事が起ころうとしているんじゃないかとか考えて眠れない。

あの、首を切り取る行為は特別なことだろ。



あんなことするなんて……狂った人間だ。

俺達の反応を面白がってるんだよ。」



「  なんだ

そんなもので怯えてるの?

「燈影」も引退かな?

いいか、
世界が崩壊しても何も恐れるな、唯一、信じられるものは俺だ。
俺に誠意を見せてみろ。」
アラタは燈影の顎を爪先で自分に向ける。



  「…………はい、」
燈影はアラタをもう一度押し倒す。
先刻よりはいい目つきになっていた。


「体洗ってからにしろって言わせるな

馬鹿の一つ覚えみたいにベタベタベタベタ!


……手間の掛かる奴」
アラタは窓辺の唯一差し込む光を見ながら呟いた。


「こんなこと言われたら怒ると思うけど、俺は、冷たく言い放つお前との距離が好き。
正直、この間も陽炎を呼んだことに腹立ってる。

その半面どこかで赦してしまう

赦されたいと願う。」



「御託はいーから
明日から、また始めるんだろ?」

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