《MUMEI》 蟻地獄=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=* ―――…その頃。 北海道の、とある港町にあるレストランで、みすぼらしい身なりの中年男と、派手な装いの女が、テーブルを挟んで対峙していた…。 中年男「ほ…本当にいいざんすか…?」 ドンブリ頭をした弱々しい男が、何やら同席者の女に念を押していた。 中年男の名は、天丼マン… 初老に手が届きそうな、いかにも冴えない風貌の男だった。 彼の目前のテーブルには、豪華な地中海料理の数々が並んでいる…。 男の腹の虫が、そこから漂う香りにつられ、ひっきりなしに鳴いていた。 おそらく何日も満足な食事を採っていないのだろう…。 前へ |次へ |
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