《MUMEI》
入学式の日
 あたしは遅刻しかけて学校に到着した―。
 あたしは、新入生代表として壇上に上がる、大事な役目がある。

 昔から、こういう晴れ舞台では、それほど目立つような人間ではないはずなのに、選ばれる。

「新入生代表・・城所 絵麗那(きどころ えれな)」

 入学式も終わり、自分の教室に戻る。

「えっと・・1-2・・・」
「あの・・城所さん」
「えっ??」
 振り返るとあたしより少し背が高い女の子がいた。
「城所さんって何組なの??」
「2組だけど・・」
「本当ッ!!同じクラスじゃん」
「よろしく」
「あたしの名前は加藤 琉緒(かとう るお)。琉緒って呼んでッ!!絵麗那って呼んでいい??」
「いいよ、琉緒」
「ていうか、席前後じゃん!!」
「本当だぁ♪」
「ヤバッ♪超嬉しい!!」
 琉緒は背は少し高いけど、本当に可愛い。髪の毛はコテでふんわり巻いてあってロング。
 スカートは短くて、カーディガンはベージュ、リボンはピンク。
「この学校、制服リボン指定じゃないから本当嬉しいッ!!」
「だねッ!」
 あたしは髪の毛は染めているかと疑われるくらいの栗色の地毛で、大変。カーディガンは薄ピンク(白にしかみえない)で、スカートは短くて、ニーハイソックス。
「入学式だからって手は抜かないッ!!これ鉄則だよね」
「うん!!」
 あたしの格好は、壇上に上がるには派手だったけど、でもやっぱりこの方がいいと思った。
「花の中学生ってかんじだねッ!!」

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