《MUMEI》 「神部って、実は七生に似てるんじゃない?」 「どこがです。」 なんか刺々しい言い方。 「すぐプンスカするとこ。感受性が豊か、なのかな?」 「誰でも腑煮え繰り返るようなことがあれば怒りたくなるでしょう。」 つまり、俺がその腑煮え繰り返るような存在と? 「髪の色も似てるよね、綺麗な赤みがかった明るいブラウン。」 「それは、兄さんに似たんじゃなくて……」 神部は言いかけた言葉を飲み込んで仄かに赤らめた。 「じゃなくて?」 「……まあ、いいです。」 ついでに切り替えの早さも七生と似ている。 「でもハッキリ物を言える神部って、男らしいよね。瞳子さんも振り向いちゃうかも。」 「絶対に無い。」 「決め付けなくて良いじゃないか。幾つもある可能性の方がわくわくする。」 「わくわく……幼稚。」 的確な蔑みだ。 「俺は子供ですからね。」 「知ってます。」 このっ…… でも、以前より距離が縮まっている気がする。 前へ |次へ |
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