《MUMEI》

「どうして、僕にされたって思ったの?」

首を傾けながらかなた君にそう聞くと、ギュッと手を下の方で結んで足をモジモジさせていた。

「あっ…だってお尻…あの後……痛かったんだもん///」
「あぁ…」

何も受け入れた事のない純粋無垢なその場所は、僕のあのイタズラで傷ついてしまったらしい。

「痛くさせちゃって…ゴメンね…」
「だ…大丈夫です、寝たら直ってた…から///」

僕の話を聞いて安心したのか、バルコニーの手すりに寄りかかりながらフンワリと笑っていた。




「ねぇ…」

かなた君に近寄ると、その耳元に話しかけた。

「んっ///何ですか?」

くすぐったそうに笑いかけてくる、まるで恋人のよう。

「今度恋人とする時はローションとかオイルを使うといいよ」
「…なぁに…ソレ?」

キョトンとした顔で僕の顔を見つめていたかなた君に、ソレがどういうものか小さい声ででこっそり教えると、耳まで真っ赤にさせていた。


「それって…どんなのなんですか?」
「あぁ、分からないよね……そうだ、一緒に買いに行ってあげようか?」
「えっ///そ…そんな、迷惑じゃないですか?」
「全然、嬉しいよ///」

迷惑だなんてそんな事は無い、むしろかなた君と一緒にデート出来るかもしれないって、僕はワクワクしてる。


かなた君の肩を抱きながらそんな事を話して笑いあっていると、突然かなた君が廊下の下を指さしてそこに居た誰かに呼びかけていた。

「おーいっ!武ぃ///」
「おぉ…チビじゃん」
「チビじゃないッ、かなただよっ!」
「…そっち行くからよ、待ってろ!」
「うん///」



「…お友達?」

はしゃいでいるかなた君にそう話しかけると「…あれが…俺の好きな人だよ」と嬉しそうに僕に話していた。

「ふぅん……」


ちょっと悪そうな子だけど友達思いなんだろうな、という雰囲気。

1年生にしては背も高く、それに髪も長くてイケメンだし、何かスポーツをやっているようで逞しい体つきをしていた。

確かに惚れてしまうのも分かるぐらい、格好良かった…。

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