《MUMEI》

俺が160cmちょいだから、その目線の下にあるって事は結構小さい子だな…。

と思いながら、プレゼントを胸に抱いて俯いている撫でやすい位置にある彼女の頭をじっと見ていると、ふと彼女が顔を上げた。

ふわりと艶やかな髪が跳ねて、プニプニとしたピンク色の頬を赤く染め、可愛らしい小動物のような丸くて黒い潤んだ瞳がじっとこちらを見つめてきた。

「何だよ、かなたにか?」

冷静になろうと自分を抑えながらわざと冷たく言ってみると、彼女は首を振って違うというリアクションをした。

「あの…下駄箱に名前無くて分からなくて…は…はるかさんにコレ…///」

そう言って彼女の柔らかそうな胸に抱かれていたプレゼントを俺に渡してきた。


しまった…。

そう言えば最近まで下駄箱に名前のタグを貼っていたけど、靴を盗まれたり変なのが顔を突っ込んでいたりして気持ち悪くなったんで、名前を外してたんだっけ…。

下駄箱に何も入ってない筈だ…。


「ぁ…おぃ、待てよ!」

俺にプレゼントを渡すと同時に彼女はミニスカートを翻して、その体型に似合わず早い足取りでその場から逃げるように走って行ってしまった。

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