《MUMEI》

じだんだ踏んでいるわたしに、義仲が声をかけた。


「お〜い!璃子ちゃん、そろそろ教室戻ろうぜ〜!」


振り返ると、義仲と川崎先生はすでに校舎へ向かって歩きはじめていた。


わたしは全身全霊をこめて、ふたりを睨みつける。


くっそー!!

この美少女のわたしをバカにしやがって!


あのふたり、絶対、後悔させてやるんだからっ!!



「璃〜子ちゃ〜ん!?はーやーくーっ!!」



わたしを呼ぶ、義仲の間抜けな声が聞こえた。


わたしは肩をふるふると震わせながら、込み上げてくる怒りに任せて、大声を上げた。



「覚えとけよー!!!ちっくしょうっ!!」



うわぁぁぁんッと半泣きで叫ぶと、義仲が腹を抱えてわたしを指差してきた。


「ヤベー!!璃子ちゃん、壊れた!ウケる〜!!」






−−−校庭には、

義仲の下品な笑い声と、

わたしの怨霊のような喚き声と、

川崎先生の子供たちをあやすような声が、


入り乱れていた…………。







******

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫