貴方の中の小悪魔
を知る神秘の占い

《MUMEI》
外れた世界 その6
「マルクスさん、何を言ってるんですか。僕は村を守れる程強くないですよ。」言ってみたが、マルクスさんの瞳は変わらずに僕に向けられている。むしろ、より強くそれを望むかの様に。「まあ、無理ならいい。お前が決める事だからな。」「すみません。せっかく僕を頼って来て下さったのに。」「やはり、まだ目覚めてはいないか。《凶神の爪蹤》-カースト・アイゼン-は。」マルクスは去り際に小さく、ヱグザスに聞こえぬ様に呟いた。         「僕が村を、みんなを、リディアを守る一一一か。」室内だというのも気にせずにヱグザスは剣を鞘から思い切り引き抜き、振った。白銀の刀身が閃めき、柄の宝玉が鈍い輝を放った。其れをじっと見つめる。妖しい輝きの中に引き込まれそうになる。「なーんて、僕には無理な夢だよな‥‥。」剣を鞘に納め、壁に立て掛けた。その瞬間、激しい頭痛にヱグザスは襲われた。「‥あ‥‥ぐうっ一一一一‥…。」呻き声を上げ、壁に手を付き、躯を必死に支えようとする。しかし、力は徐々に抜けてゆく。「あっ…一一。」ドサリという音と共に躯が横たわるのを感じた。目の前が、虚ろな暗闇に成る。必死に何かを掴もうとして、手が空を切る。目の前が完全に闇に閉ざされた。                        一一一一罪ヲ償ヱ。ソシテ……。               遠くから響く呪咀にも似た声が、意識を失う直前に、聞こえた。

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