《MUMEI》

正面に二人、並ぶようにして立ちはだかる。


それぞれ右、左と、ステップを踏みながらにじり寄って来る。


「甘いな、お二人さん。」


俺は二人の間に開いた、穴を見逃さなかった。


ドリブルしながら正面突破する。


そして逃げ切ったと思った瞬間、今度は左脇から智哉が飛び出してきた。


「おらおらぁ!!

賢史、生きがってんじゃねぇぞ!!」


うっわ!


こいつこんなに足速かったっけ?


智哉が俺に並ぶ。


この時丁度、コートの中央を通過していた。


「うっせ!

これは俺のボールだ!!」


とは言ってみたものの、全く持って余裕はない。


くそっ!!


智哉にマークされて打つ手がない。


パスを出そうにも、直ぐに奪われちまうのが落ちだ。


どうすればいい!?

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