《MUMEI》 「うん──そだね、確かに」 「この桜は──この祇園の地で最も美しいとされる物だと僕は思う」 「ぇ?」 「──僕はそう思うが」 その瞳は、輝いているように見えた。 ──宝石のように。 「アゲハ君」 「?」 「目、綺麗」 「目‥?」 アゲハ君は、きょとんとして自分の目に手を翳す。 「──変わっていると思っていた」 「ぇ」 「青味がかっているものだから」 「変わってなんかないよ、凄く綺麗」 「──有り難う」 嬉しそうに、アゲハ君は笑ってくれた。 前へ |次へ |
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