《MUMEI》

「じゃあコトは雪村に任せて、あたし達は話してましょう」

「えええ!!?」

秋葉が歩雪に体を向けると、今宵は叫んだ。

「琴吹くんと2人にしないでよ!!琴吹くんと話してんの大変なんだから!!」

「えええ!!?今宵ちゃん、酷い〜!!」

「あんた、そっちなの?」

またも打ちひしがれている紘を置いておき、秋葉が今宵に呆れて見せた。

「へ?」

「だから、あたしが歩雪くんと2人になるってことなのよ!!いいの!?」

「は!!そうか!!」

「あんたやっぱり馬鹿なんじゃないの?」

今宵と秋葉は歩雪達に聞かれないように、小声でぼそぼそと話した。

「こー」

「は、はい!!」

今宵は歩雪にいきなり呼ばれ、慌てた。

「何それ。先生、呼んでるけど」

「へ?」

「5時間目遅れてきたから、雑用言いつけられてたでしょ。早く来いだって」

「忘れてた〜!!」

そんな・・・こんな状態で歩雪くんと、秋葉ちゃんを置いていくの〜!?

今宵がちらっと秋葉の方を見ると、明らかに笑みを浮かべている。

「あら。行って来なさいよ、雪村!!また怒られるわよ!!」

「え〜?」

「ほら、行ってきな。待ってるから」

「歩雪くん・・・」

待っててくれるんだ・・・。

よかった、秋葉ちゃんと帰るなんて言わなくて!!

じゃあ、しょうがないから行ってこよーっと。

「ちょっと行ってくるね!!」

「おう!!オレも今宵ちゃんのこと待ってるからな〜!!」

「ちょっとじゃなくてもいいわよ〜!!」

「早く行ってきな」

今宵は、自力で立ち直った紘と、秋葉、歩雪に見送られて、職員室へ急いだ。

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