《MUMEI》

わたしの理不尽な要求に、千影は、はあっ!?と顔をしかめる。


「席料ってなに?公共の場所でしょーが」


「たった今から、このテーブルはわたしのシマ」

わたしはかわいらしい目で、背の高い千影を見上げて呟いた。



飛び切りの美少女とランチが出来んのよ。
タダで座ろうなんざ、ナメてるね!
女だろうと関係ないし。



千影はわたしの言い分に呆れたようなため息をついて、ぼやいた。


「しかも500円って、学食のランチより高いじゃん」


正攻法の千影に対して、わたしはバカにするように髪の毛をいじりはじめる。


「文句あるなら他探せばぁ?」


千影はチッと舌打ちして、しぶしぶ500円を差し出した。わたしは途端に笑顔を振り撒いて、毎度〜♪と硬貨を受け取った。

千影が椅子に座りながら、いつか地獄に堕ちるよ…とげっそりした顔で呟いた気がした。



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