《MUMEI》
興奮リポーター
「今日、午後一時頃、警察署内で発砲事件が発生しました。
発砲をしたのは男性で、この男性は、今朝報道致しました奇怪殺人犯の男だと、判明。
男は自ら警察署に出向き、自分がやったと供述した後、懐から銃を取り出すと、自分の頭に向けて発砲。
現在、警察署との中継が繋がっております。
現場の中村さん?」
キャスターが、中継しているであろうリポーターの名前を呼ぶと、その警察署をバックに、マイクを片手に持つ男性が画面に現れた。
「はい!只今新しい情報が入ってきました!!」
トップニュースだからなのか、中村は少し興奮気味で喋る。
「男は発砲する直前に、何やら奇妙な事を叫んでいた模様!
“俺はモルモット!吸血鬼!!俺が滅せど、事実は消えない!リアルは月夜に甦る!!”
そう叫んでいた様です!」
「その時の男の様子は判かりますか?」
レポーターの中村とは逆に、キャスターは冷静な声で質問する。
「はい!男の目は泳いでおり、白黒していたそう。何かに怯えていた様にも見えたそうです。
その様子に不信を抱いた警察は、原因確認の為、直ぐさま死体解剖を行った模様!まだ結果は出ていませんが…」
まだ興奮気味の中村の後ろから、一人の若い男が署内から走って来るのが見えた。
「あぁ!今、スタッフが出て来ました!!」
どうやら番組のADらしい。その男から一枚の紙が手渡された。
原稿だろう。恐らく、雑な手書きに違いない。
「解剖結果が出ました!僅かながらですが、薬物反応が出たとの事です。
今後も、新たな情報が出次第お知らせ致します!」
興奮リポーター中村がそう言うと、画面はスタジオに戻された。
また感情のなさそうなアナウンサーの顔が現れた。
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