《MUMEI》 彼氏候補安堵のため息を漏らすと、向かいでラーメンをすすっていた千影が、メール?と声をかけてきた。わたしは素直に頷く。 「彼氏とか?」 千影の質問に、わたしは思わせぶりに首を傾げて見せた。 「彼氏じゃないけどぉ、最有力候補…ってとこかな」 曖昧な返事に千影は、もしかして…と呟いた。 「義仲?」 時が止まる。 わたしは目をむいた。 「なんでそこでアイツの名前が出てくんの!?」 勢いよく身を乗り出した。千影はわたしの剣幕に怯えながらも、だって、と答える。 「片倉さん、仲いいじゃん。一瞬に授業サボったり」 「あれは誤解だっつーの!!」 力いっぱい否定した。 千影はあまり気にする様子もなく、あ、そう、と簡単に流してふたたびラーメンをすすりはじめた。 前へ |次へ |
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