《MUMEI》

「ミドリ、何見てたの?」

「夕焼け綺麗だなぁって思ってさ──」

「‥君も夕焼けに見とれたりするのか‥」

「菜畑に言われたくないんだけど?」




 ミドリが苦笑して、アゲハ君に言った。




「はー‥何かお腹空いて来たね、旅館行こっか」




 先に立って、歩き出すミドリ。




「ほらっ、早くおいで?」

「ぁ‥うん」

「───────」

「アゲハ君?」

「ぁぁ‥ぃゃ、すまない」




 アゲハ君も‥何か見ていたのかな。




 何を見ていたんだろう‥?




「サクヤー、早く行こうよーっ」

「ぁ‥──うんっ」

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