《MUMEI》
見学者達
聞き覚えのある声に振り返ると


そこには、愛理さんと、愛理さんの夫で相田先生のいとこの姿があった。


(名前なんだったっけ…)


考えている間に、愛理さんが行動を起こした。


「うわ、本当に金髪青い目の女の子だ! 可愛い」

「え、あの…」

「見ないで下さい。減るから」


興味津々な愛理さんに戸惑うエイミーを、頼が自分の背中に隠した。


「もしかして、ラブラブ?」

「えぇ」

「…その位にしときなよ、愛理」

「わかったわよ、貴志」


(そっか、貴志さんだ)


「悪いね、洋子」


(相田先生は、洋子だったな)


心の中で確認していると、愛理さんが驚くべき事を言った。


「貴志は四月からここの教師になるんだし、演劇部の副顧問になるんだから、そんなに遠慮しなくてもいいんじゃない?」

「えぇ!?」


俺の言葉は、他の部員達とハモった。


「部員増えたから、副顧問必要だもんね。これも田中君や頼君のおかげだわ。

今年は、エイミーちゃんもいるし」

「エイミー目当てはダメ!」


部長の最後の一言に、頼は隣に並んだエイミーを再び背中に隠してしまった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫