《MUMEI》

………なんてのは冗談。


「あー、もう……。

しゃーないなあ!」


見てろよ、俺の実力!!


俺はボールを膝蹴りし、小高く上げた。


その間、俺は違う方角へと走り出す。


「え!?

て、おい!!

敵にボール渡すなんて有り得ねぇだろ!?」


智哉は驚いて声を掛けた。


だけどしっかりと、足だけは動いている。


「バーカ、何考えとんねん。」


智哉に渡るかに見えたボールは、智哉の頭上を軽々と飛び越えた。


「なっ!!?」


慌てふためく彼をよそに、ボールは前方……俺の足元へ落下する。


「っ!?

け、計算通り?!」


「ま、そう言うとこ。

まんまと引っ掛かってくれて、ご苦労さん。」


「くっ!!」


俺はその場で強烈なロングシュートを放った。


真っ直ぐに軌道に乗ったボールは、次々とディフェンスの奴等を押し退けて……。


ゴールの、右上のコーナーにしっかりと収まった。


「しゃあ!!

見たか、二人とも!!」

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