《MUMEI》

「あの…グレイド?」


少し離れた場所で、グレイドに問い掛けた。


「なんだ?

今取り込み中なんだ。

黙っていてくれ。」


そうは言っても……。


やっぱり聞かずにはいられないよ。


「これ、殺し合いですか?」


未だ剣と牙で対峙している二人。


彼等からは、明らかに殺気がビンビンと伝わって来る。


するとお互い飛び退き、距離を広めると、ラルフが答えた。


「私より弱い者は、この家に入れさせん。」


……つまり、殺し合いだよな?


勝手に解釈して、身震いした。


「やっぱり止めた方が良いですよ。

……だってほら、血が流れる訳だし……。

お互い傷つく訳だし……。」


「甘い!!」


グレイドが、ラルフに飛び掛かりながら怒鳴り散らした。


「ここは、お前が以前のうのうと暮らして来た世界とは違うんだ!!

故にお前は覚悟を決めなければならない。」


凄まじい金属音が響く中、グレイドの言葉は更に続く。


「この世界では殺し合いなど、日常茶飯時だ。

お前はそう言うことも踏まえて、この世界を選択したのではないのか!?」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫