《MUMEI》 「あの…グレイド?」 少し離れた場所で、グレイドに問い掛けた。 「なんだ? 今取り込み中なんだ。 黙っていてくれ。」 そうは言っても……。 やっぱり聞かずにはいられないよ。 「これ、殺し合いですか?」 未だ剣と牙で対峙している二人。 彼等からは、明らかに殺気がビンビンと伝わって来る。 するとお互い飛び退き、距離を広めると、ラルフが答えた。 「私より弱い者は、この家に入れさせん。」 ……つまり、殺し合いだよな? 勝手に解釈して、身震いした。 「やっぱり止めた方が良いですよ。 ……だってほら、血が流れる訳だし……。 お互い傷つく訳だし……。」 「甘い!!」 グレイドが、ラルフに飛び掛かりながら怒鳴り散らした。 「ここは、お前が以前のうのうと暮らして来た世界とは違うんだ!! 故にお前は覚悟を決めなければならない。」 凄まじい金属音が響く中、グレイドの言葉は更に続く。 「この世界では殺し合いなど、日常茶飯時だ。 お前はそう言うことも踏まえて、この世界を選択したのではないのか!?」 前へ |次へ |
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