《MUMEI》
やる気の問題
部員は、最初四十人だったが、文化祭後増えて、現在は五十人近くいた。


「…無理だ」

《何がだ》


(しまった、電話中だった)


そう思った時にはもう手遅れで


俺は、忍に課題の話をした。


(絶対馬鹿にされる)


有能な執事である忍は、人の名前を覚える事など簡単だろうと思った。


《やる気の問題だな。お前は元々記憶力はいいし》

「ど、どうした忍!?」


(おかしいぞ!)


優しい忍に俺は、恐怖を覚えた。


《失礼なヤツだな。お前との恋人期間も

付き合いも

もう、一年も無いんだ。

優しくしてやるという俺の思いやりがわからないのか?》

「いや、だって…」


優しい忍に慣れない俺は、戸惑いを隠せなかった。


《だから、その時計もやっただろう?》

「…は?」


(そりゃ、確かにいい物だけど…)


俺は別にブランド品には興味が無かった。


《…ちゃんと見なかったのか? 時計の裏を》

「裏?」


言われて、俺は外した時計の裏を確認した。


「ちょ、…これ!」


そこに書かれていた文字に、俺は大声を出していた。


…両隣の存在を忘れる程に。

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