《MUMEI》

「何笑ってんだよ…」
「えへへ///」

武は小さい頃の事とかも言わないし、子供の頃の写真とか一枚も持ってなかったから、昔の武の事とかちょっとだけでも聞けて嬉しかった。

武には、久しぶりに会った友達なんだからもっと居てもいいんじゃない、と言ったけど、これでいいんだよと言って俺を抱き寄せてくれた。

「ん…///」

大きな腕に抱かれてその逞しい身体にもたれかかりながら、小さかった武がこんなに大きくなったんだな…とか、まるで武のパパかママみたいな事を思ったりした。


「おい、お前ら」

隣を歩いていたはるちゃんが誰かを見つけたらしく、俺の肩を叩いて教えてくれた。

「あ、にいちゃと…あきらさんだ///」

はるちゃんが言った向こうの方に、周りより頭一つ分大きな兄ちゃんとその側にはあの美人なあきらさんが居た。

「にいちゃ〜///」
「ん、お前らか」

手を振って克哉兄ちゃんに駆け寄ってって抱きつくと、いつもみたいに抱きしめてほっぺたにキスをしてくれた。

「アキラにお前たちの話を聞いてな、私達も行こうかという話になったんだ」

兄ちゃは身長が大きくて、今着ている浴衣は日本に来てから大きな人達がいっぱい居る”両国”って所で買ったらしい、ドイツ語で書いてあるガイドブックにも大きな人はここで浴衣を買うといいよって書いてあるんだ。

アキラさんの方は淡い色の涼しげな浴衣を着ていて、兄ちゃと並ぶと身長差もいいカンジだし、すごくお似合いのカップルだった。

兄ちゃは日本に滞在している間、あきらさんと一緒に色んな所を巡っているんだって。

それがとっても嬉しいんだとか兄ちゃんは嬉しそうに話していて、それを隣で聞いているあきらさんは恥ずかしそうにしてほっぺを赤く染めていた。

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