《MUMEI》
天然
リオ「あのトイレはね」
「仕事に行く前に、着替える場所なの」

「今は、もう、用無いけど」

「ノブ君風に言うなら」
「スイッチを入れる、場所だったのよ」

「昔はね」

「毎日、男と肌合わすんだから、嫌な奴も、中には居てね」

「女優みたいに、別の自分を作る場所だったの」

「最近は、ただの習慣になってたけどね」


「風俗なんか、やらなきゃいいのにって、思うでしょ」

信之「別に、思わないけど」

リオ「汚い、女に思わない?」
「たくさんの男の精液、浴びるのよ」

信之「身体は、風呂入れば済むけどね」
「女の心の中までは、わからないよ」
「嫌なら、辞めればいいし」

リオ「長く、この商売やるとね、変わっちゃうんだ」「自分自身が…」

「私も、そうよ」

「性にたいして、冷めたり、貪欲になったり」

「繰り返しよ」

信之「…俺には、まだ、理解出来ないかなぁ」

リオ「マミの中にも、あるかもしれないわよ」
「そういう部分が」

マミ「…」

信之「直面してから、考えるよ」

リオ「男達の捌け口だもんね、風俗は」

信之「捌け口かぁ」
「まぁ、確かに、エッチな事して、出すもの出してって事では、捌け口かもしれないけど」

「癒される事もあったよ」
「偽りかめしれないけど…」
「究極の、サービス業じゃないかなぁ」

「女の子にも、よるけどね」
「当たり、ハズレ、あるよね」

ヒロ「ノブは、風俗よく行くの?」

信之「昔は、ハマッテタなぁ」

ヒロ「箱?、デリ?」

信之「箱ばっかり…」

リオ「デリは嫌いなの?」
信之「一人でホテル、入れないから…」

リオ「待ち合わせ、出来る店の方がいいわよ」
「じゃないと、写真と、違う娘、来るわよ」

信之「うん、マミから聞いた」

「大変だよね、真剣に、風俗やるのって」

「営業とはいえ、アドレスまで、教えて」

マミ「アドレス?」

「ノブ、箱でしょ、遊んでたのって」

信之「えっ、うん、そうだけど…」

リオ「携帯番号も?」

信之「えっ…うん…何度か電話したし…」

マミ「デリでも、アドレス教えたりするけど、」
「たいてい、お店のスタッフが、対応するのよ」

信之「…本人だったよ…」
マミ「私は、常連さんでも、数人しか、教えてないよ それに、番号は、教えないし…」

リオ「そうね、よっぽど、気に入らなきゃ、教えないわね」

「身体は許しても」
「プライベートには、立入させないものね」

マミ「彼氏に内緒で働いてる娘も居るしね…」

ヒロ「ノブ、外で会ったりしなかったの」

信之「会いたいって、言われたから、お店行ったよ」
ヒロ「バカだ、こいつ…」
リオ「ノブの方が、私より、天然ね…」

信之「な、何が??」

マミ「箱はね、アド交換とか禁止が普通なの」
「…誘われてたんだよ、ノブ…」

信之「だって、俺が誘ったら、断られたよ」

ヒロ「まさか、ノブ、会いたいって言われて、何度も店で会ってから、」
「誘ったり、して、ないよなぁ…」

信之「……」

ヒロ「そうなのか?…」

マミ「そりゃ、女も怒るかもね…」

リオ「そうね、相手が居なくなったから、私に声かけてって、思うかもね」

信之「…」

マミ「軽く見ないでって、反感買うよ…きっと…」

ヒロ「上手く誘えば、ホテルコースだったかもよ…」
信之「…」

ヒロ「バカだなぁ…お前… 」

信之「…」

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