《MUMEI》

「おまっ!!

何してんだ!!?」


一希が驚いて俺の行く手を塞いでいる。


「え!?

なんで一希が?」


そう言うも虚しく、足は勝手に動いた。


シュート体制のまま、ボールを蹴り上げる。


寸前で止めようかと踏んだが、条件反射に伴って歯止めが聞かずに、いつも通りのシュートを放ってしまった。


空気抵抗をもろともせずに、烈火の如く突き進むボール。


うろたえ、動揺仕切った一希は止められるはずもなく……。


ピピー―――!!!


ゴールを許してしまった。


ボールは、勢いよく左端のゴール内に突き刺さった。


「何してんだ!!」


一希が顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。


「え?」


状況が上手く飲み込め無かった。

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