《MUMEI》

川上の放ったシュートは、


勢いよく恭介の顔面に当たった。

















(ずっとお前の右手を狙ってた。


お前には俺のシュートに触って貰わなきゃならなかったからな。


おかげでわかっただろ?


俺のシュートの威力。


さっき、


7メートルでお前は俺のシュートに勢い負けした。


つまり、


これ以上お前の右手を狙う意味もない。


あとはただ、


お前に恐怖心を与えればいい。)


















「お前らいい加減にしろよ!!」


「…殺す。」


翔太と猪狩が、


川上に突っ掛かる。


「大丈夫?」


クロは恭介に近づき、


声をかけた。


「ん…
あぁ平気。」


恭介はゆっくりと立ち上がる。


が、


翔太と猪狩の勢いは止まりそうにない。


まさに一発触発のムードだった。

















「川上ぃ!!
うちの恭ちゃんに何してんのよ!!」

















そのムードを断ち切ったのは、


春奈の叫び声だった。

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