《MUMEI》 「なん…だ?」 (おいおいおいおい。 マジかよ恭介の姉ちゃん。 超おもしろいんだけど!!) ぎすぎすとした体育館のムードが、 春奈の一言で変わった。 体育館にいた秀皇大学の応援も、 海南クラブの応援に変わりつつあった。 「ホントに大丈夫なのか?」 「大丈夫。 つ〜か姉ちゃんうるせ〜から早く始めよ〜ぜ。」 本来ならば、 キーパーの体、 真ん中のラインにシュートをぶつけると退場物のファールである。 大きく分けると、 顔、 腹、 そして股間だ。 つまり顔面はアウト。 だがしかし、 シューターのコントロールも確実ではない。 ほとんどの審判がこれを見逃す為、 キーパーにぶつけてファールになるというケースは極めて稀だ。 ましてやこれは練習試合。 ファールになることはなかった。 「頼むぞ。」 恭介はボールを翔太に渡した。 「恭介さん。」 「ん?」 「言いましたよね。 物には順序があるって。」 「…お前は秩序って言ってたけどな。」 「今からうちの攻撃。 本領発揮ですよ。」 「…期待してる。」 前へ |次へ |
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