《MUMEI》

「ねぇ、今度武の家に行きたい〜!!! 生ヤ○ザー見たいよ〜 武パパ見たい////」
「お…お前、分かってんのかよι」

親父の特殊な職業柄、まわりに家族が周りに居ると面倒な事になるから、という理由で俺は全寮制の高校に入れられ、親父は今のところマンションに一人暮らしだった。

「武パパは一人なんだ…あれ、ママは?」
「…いねぇよ」

俺が物心付いた時にはもう居なかったし…小さい頃、一度親父に理由を聞いた事はあったけど結局教えてはくれなかったから、それ以来その話をした事も無かった。

「ごめんね」
「お前が謝るなよ…」

触れた事も無い母親の感触を、俺はいつもかなたに求めていた。

甘えるようにかなたに抱きつくと、かなたは優しく俺を抱きしめて俺をいっぱい甘やかしてくれる。

きっと、優しい母親に育てられたから、かなたは良い子に育ったんだろうな…。

「あのねっ俺のママはワイルドでね、俺がイタズラして怒られた時になんか足掴まれて逆さまにされたりしてねっ♪」
「えっ…」
「それでね、俺が泣いてるとパパが抱っこしてイイコイイコしてくれたんだよ///」
「あぁ……」

なんつーか…母親居ねぇからスタンダードがよく分からねぇけど…それって逆じゃねぇかな?

「パパは末っ子だから優しいんだよ〜♪」
「へぇ…」

末っ子とか…関係ねぇと思うけど。


双子の家族の写真を前に一度見せてもらった事がある。

かなたと一番下の小さな弟はどっちかっつーと美人な親父さんに似ていて、克哉さんとはるかは気の強そうな母親似というカンジがした。

この双子が似てないのは二卵生だったから、いわば年の近い兄弟みたいなモンだって、前に言ってたしな。

でも、仕草とかタイミングとか…お前ら結構シンクロしてる時もあるんだぜ。

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