《MUMEI》

「すごいtokyo!ってカンジだね、武こんなトコ住んでたんだぁ///」
「俺は住んでねぇよ…新しいマンションだし、最近越して来たんだよ」

ビルが多い地域のオートロックのマンションの最上階。

でも俺が子供の頃まで住んでたのも、似たようなトコだったけどな。

…寂しい部屋でひとりぼっち。

今の親父も同じか。



エレベーターを上がり、ドアの所まで来ると自動的に鍵の開く音がした。

「映画みたぁ〜い♪」

はしゃいで俺の腕にギュッと掴まってきたかなたを連れて部屋に入っていくと、黒い革張りのソファーの真ん中にあの親父が座っていた。

「久しぶりだな…武、そっちの子か会わせたい奴というのは…」
「格好いい〜超ヤ○ザだー!」

目を輝かせて不穏な事を言っていたかなたにハラハラしていたが、親父は意外にも笑顔だった。



「ケーキ持ってきたんだよ♪」
「おぉ、ありがとう…武、お前には似つかわしく無いぐらい可愛い子だな」
「似つかわしくないって…まぁ…そうだよな…」


かなたは持ってきたケーキを俺に渡してくると、親父の側に駆け寄って行き躊躇もせず両頬にチュッチュッと外国流の挨拶のキスをしていた。

「パパさん背ぇ高くってかっこいいね、武そっくり///」
「…似てるか?」
「うんっ!そっくり///」

物怖じしないって恐ろしいな。
  

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫