《MUMEI》 「ふぁー、広いお風呂だね〜♪」 ミドリの声が、浴場に響く。 夜遅い事もあって、貸し切りみたい。 「ね、あたしが神社の裏にいた時さ──菜畑と何してたの?」 「散歩とか──お喋りとか」 「へー、良かったじゃん」 「──うん」 良かった。 二人で手を繋いで、散歩した──ただそれだけの事でも、私は凄く楽しかった。 何でもないような事でも、本当に──楽しかった。 好きだって気持ち──それだけで十分だったんだ。──今も。 今も、私はそう思っている。 前へ |次へ |
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