《MUMEI》

「ふぁー、広いお風呂だね〜♪」




 ミドリの声が、浴場に響く。




 夜遅い事もあって、貸し切りみたい。




「ね、あたしが神社の裏にいた時さ──菜畑と何してたの?」

「散歩とか──お喋りとか」

「へー、良かったじゃん」

「──うん」




 良かった。




 二人で手を繋いで、散歩した──ただそれだけの事でも、私は凄く楽しかった。




 何でもないような事でも、本当に──楽しかった。




 好きだって気持ち──それだけで十分だったんだ。──今も。




 今も、私はそう思っている。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫