《MUMEI》 《スパイラル》からの脱出. 午後イチは、古典の授業だった。 義仲はサボるつもりなのか、気づくと教室に姿がなかった。 ………チャンスは、今しかない。 「はい、皆さ〜ん。席についてくださ〜い」 いつものようにのろのろと、後藤のおじいちゃんが教室に入って来るなり、 わたしはつかみ掛かった。 「ジイさん、席替えだ!席替えをしよう!!」 おじいちゃんは、わたしに襟首をつかまれたまま、え〜?と困惑気味に唸った。 「でも、今から古典の授業が…」 「そんなの、どーでもいいから席替えしろ!じゃなきゃ、授業どころじゃないっ!!」 めいいっぱい顔を近づけて、低い声で言った。 「ちょっ…やめなよ!先生、死んじゃうでしょっ!?」 慌てた口調で千影が止めに入る。わたしを羽交い締めにして、どうどうっ!と馬をなだめるように声をかけてきた。おじいちゃんはすかさずわたしから離れ、教卓の陰に隠れた。 . 前へ |次へ |
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