《MUMEI》

どこに行くかも分からないまま──

お嬢様と並んで歩いてたら。





「あっ、玲奈達だ♪ おーい!」

「?」

「美由お嬢様──」






何かこっちに手振ってるけど──

来いって事か‥?





「お嬢様、如何致しま──しょ‥!?」





お嬢様は、

真逆の方向に歩き出した。





「ぁ‥あのっ、お嬢様──美由お嬢様がお呼び‥」

「ええねん。どうせ何かお昼一緒にどうかとか言いに来ただけやねんから」

「───────」

「あいつらとおると‥喧しゅうてしゃーないねん」

「ぅ‥‥‥俺も喧しいっすよね‥?」

「あんたは別や」

「ぇ」

「‥‥‥あたしの執事から」

「『執事』──」





なれたんだ。




──お嬢様の執事に。





お嬢様に、

認めて頂けたんだ。





「──っしゃ♪」





俺、

今──

最高に幸せだ。





聖綾学園1年、

桜庭 翔──

世界一幸せな15歳。





これからお嬢様の執事として、

王子として──

命懸けで頑張ります☆

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