《MUMEI》

「ぁ‥ぃゃ、その‥」

「王子、なれたんだね──」

「ぇ‥何で分かったんすか?」

「さっきお嬢様を『姫』って言ったし──それにそのタイピン──王子の証しだから。そこのベッド使っていいよ」

「ぁ、どもっす──」





よし、

これで安全確保は完璧っと──。





「随分変わったね、桜庭君──」

「ぇ‥?」

「初め──入学して来た頃なんか──本当に大丈夫なのかって──二ノ宮先生と心配していたんだけど──もうその心配は必要ないみたいだね」

「───────」

「褒めてたよ? 二ノ宮先生──『あいつは本当に良くやった』って」

「二ノ宮先生が‥っすか‥?」

「ぁぁ。それから──『こんなに手が掛かった生徒は初めてだ』って──」

「──口が過ぎるぞ、矢沢」

「ぁ、いらしてたんですか──二ノ宮先生」

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