《MUMEI》
似てる二組
「だってそれじゃ思い切り食べられないでしょ」


鼻の下を伸ばして恋人を見つめる柊と頼に、志貴が呆れながら説明した。


「そっか。腹出たらわかるもんね」


一度チャイナドレスを経験している祐がすぐに納得した。


「そんな変わらないだろ?」

「変わらないでしょ?」


「「変わるの!」」


鈍感な柊と頼は、すぐに希先輩とエイミーの怒りを買った。


「そりゃ、柊は変わらないけど…」

「頼は太らないからいいけど…」


ため息を同時についた希先輩とエイミーは、互いの発言に顔を見合わた。


(お互い通じ合うものがあったんだろうな)


二人は、同時に口を開こうとした。


「悪いけど、お喋りは乾杯の後にしてくれ」


秀さんの言葉に周囲を見渡すと


全員に飲み物が行き渡っており


俺達以外は静かだった。


「す、すみません」

「謝らなくていい。祐以外は主役と準主役達だから」


「…は?」×7


初めて俺の席にいた全員が、同じように首を傾げた。


「あ、まさか…俺と希の記念日も祝ってくれる、とか?」


真っ先に心当たりを口にしたのは柊だった。

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