《MUMEI》

どれだけの試合が行われただろう?


あれだけの人がいた体育館が、


静まり返っていた。


海南クラブの選手たちや、


赤高。


そして他県から来た選手たちも、


体育館を後にし、


さっきまでの猛暑が嘘のように、


少し涼しさすら感じる夕方の外にいた。


「明日は休みにするから。
ゆっくり体休めて。」


「はい!!」


「今日はおつかれ。
明後日は遅刻しないで練習来るんだよ。」


「はい!!」


「じゃ〜解散!!」


「お疲れした〜!!」


赤高の選手たちが、


秀皇大学を後にする。


「さて…
じゃ僕たちも帰ろうか。」


「おう。」


クロと恭介、


2人が車に向かう。


「ん?」


その最中。


1人秀皇大学を後にしようとしている猪狩を見つける。


「猪狩!!」


「あ?」


態度の悪い様子で振り替える猪狩。


「今日はありがとな!!


お前バスだろ?


乗ってけよ!!


送ってくから!!」


「…いいすよ別に。」


「後輩が遠慮しなくてい〜から!!
こういう時は先輩に甘えとけ!!」


半ば強引に猪狩を車に乗せる。


「さっ!!
帰ろうか!!」

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