《MUMEI》
あいくるしい
(かわいいやつめ)

氷室は、拾ってもらった子犬のような従順さで、切なげに鼻を鳴らし続ける。

目の前で性急に揺れ続ける氷室の小振りな双丘は、殻をむいたゆで卵を思わせる、きめ細やかな柔肌に包まれていた。

衝動に耐えかねた珍宝は、思わずそれを平手で打ってみる。

ピシャリ!

「くぅん!」

びくりと身を震わせ、今にも泣き出しそうな目で振り向く氷室。その仕草が抱きすくめたいほどに愛くるしい。

珍宝は狙いを定め、唾液に濡れた薄墨色のすぼまり目掛けて、自らを近づけていった。

「うっ…」

当然のことながら、ファーストコンタクトは退け合うのが男同士の常だ。両者の意思とは関係ない。

「もう一度いくよ、氷室っち。力を抜いて、呼吸を楽にして」

珍宝は左手を氷室に、右手を自らに添えて、再びゆっくりと洞窟探検の旅に出かけた。

「左手はそえるだけ」

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