《MUMEI》

「はるちゃんとかなちゃんは、まーだまだシューラー(学生)だから、きーっと大きくなるよ〜♪」

 マックスさんはそう言いながら両腕を広げて、陽気にそう言っていた。

 僕の目の前では仲の良い親子の会話が聞こえてくる。

 …そうだよね、僕らの所に居るより、やっぱり本当の両親の側に居た方がくるみちゃんも幸せなのかもしれない…。

 そう思うと、今まで僕の子供みたいだったくるみちゃんが急に遠くへ行ってしまうようで、胸の奥がギュッと締め付けられるような気持ち

になった。

「ねぇ〜あきら君だっけ、コイツがあんまり教えてくれないんでかなた達からのメールで下の名前しか聞いてないんだよ、ちょっとフルネー

ム何て言うのか教えなさい」
「えっ///……ぁ…はい」

 くるみちゃんのママに足を小突かれながら恐る恐るそっちの方に向き直ると、意外にもニッコリと笑ってくれた。

「あの…賀川です…賀川アキラ」
「賀川君か…よろしくね私はさくらよ」

 なぜかさくらさんと体育会系な握手を交わすと、さくらさんはさっそく綺麗に装飾された携帯に僕の名前か何かを登録していた。

「私は〜…夏目さくらなんだけど、夏目イェレミースさくらなのかなぁ…よく分かんないけど…んで、あの旦那がマクシミリアン、長くて面

倒だからマックスでもいいよ」
「え…えぇ」

 自分の名前がよく分からないというさくらさん、確かに日本だと女性は結婚すると名前が変わってしまうけど外国人と外国で結婚した場合

はどうなるんだろう。

 もし克哉さんと結婚した場合、僕の名前は女の子じゃなく男だからどうなるのかな…もしかしたら変わらないのかもしれないけど。

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