《MUMEI》

「サクヤーっ、おっきろー♪」

「〜〜〜‥」




 ミドリ‥?




「ほーらっ、丘行くんでしょっ? 早く起きて♪」

「うん──‥ごめん、」




 私、寝坊したみたい‥。




「あれ‥‥‥アゲハ君は‥?」

「先に起きちゃったみたい。縁側にいるよ?」

「縁側──」




 私は布団から出て、アゲハ君がいるらしい縁側に向かった。




「ようやくお目覚めのようだな──」

「ぁ‥ごめん──」

「昨日は歩き回ったから──疲れたんだろう。まだ9時だから大丈夫だ」




 アゲハ君がそう言った時。




 襖が開いて、仲居さんが三つのお膳を運んで来てくれた。




 ‥でも‥。




「どうして──」

「朝食の時間を遅らせてもらった。君が起きるまでね」

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