《MUMEI》

朝バイブの音で目が覚める。
起きると、優子からメールが入っていた。


『下を見て。』


私は急いで、自分の部屋の窓から顔を覗かせる。
見ると、優子がそこに立ってひらひらと手を振っていた。
私は慌てて1階に降りた。

玄関のドアを開けた。
にこにこと笑う優子。
私もにこにこ笑う。
すると、突然頭を叩かれる。


はい?


「何その格好。色気もくそもないんだけど。」

私は嫌な予感がした。

「…ねぇまさか駄目だしするために、私の家に来た?」

優子が不気味に笑う。

「はは…なわけないじゃん。そんなちんけなことで私は来ないわよ。」

そう言うと、優子はつかつかと玄関に入る。


ちょっと、あんた常識ってもん分かってんの?

「おばさん、朝からお邪魔しまーす。」

お母さんは、その声をかけつけて台所からやってくると、優子を見て、いつも見せない笑顔を見せる。

「あら、優子ちゃん。ゆっくりしてってね。」

「はいっ。」

優子は2階に上がり始めた。
お母さんは私に耳元で囁く。

「優子ちゃんって本当に礼儀正しい子よね。いい友達持ったわね。」


ごめんなさい…どこが礼儀正しいんですか?
しかも、あんた急に優子入ってきて驚かないし、てか優子の名前知ってるし…なんなわけ?


お母さんが台所に戻る。
私も慌てて2階へ上った。

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