《MUMEI》

 くるみちゃんはお腹一杯になって眠くなったようで、ウトウトしながら僕にしがみついてきた。

 ほんのり暖かなくるみちゃんを抱っこすると、心がキュンとなってくる…。

 本当に可愛いなぁ…。

 こんなに可愛いくるみちゃんと離れたく無いけど、もうお別れなんだと思ってギュッと今までより強く抱き締めた。

「くるみの事、これからもよろしくね」
「……ぇ」

 “これからも”と言われ、何を言っているのか一瞬理解が出来なかった。

「あの…またどこかに行かれるんですか?」

 そう言うとさくらさんは『何言ってんの?』と言うように首を傾げてきた。

「これからもよろしくね、って…くるみはこれからあんた達に任せるって言ってんの、今からあなたがこの子のママ、だからよろしくね!」
「…ぇ…ええ!」

 さくらさんはまるで動物か何かのように、くるみちゃんを簡単に僕に委ねてきた。

「そんな…ι」
「あれ〜お若い人の家には小さい子供はお邪魔かな〜?」
「そっ…そんな事ありません!///むしろ…くるみちゃんと一緒にいられるのは嬉しいです!」

 テーブルにあったハンドタオルを肩に掛けると、克哉さんがいつもやっているように抱っこして背中をトントンすると”ケプッ”と可愛い

音が聞こえた。

「…慣れてんなぁ〜」
「え、いや…克哉さんがやってたのを真似しただけなんで」
「そういえば克哉は子供に慣れてるもんねぇ」

 すっきりした様子のくるみちゃんを抱えると、そのほんわかした顔を見てからさくらさんの方に向き直った。

「…あの…こんな事…いいんですか!?」

 もちろん、こんな可愛い子を貰えるなんてこんなに嬉しい事は無いけれど…。

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