《MUMEI》

 でも…こんな事していいんだろうか、両親でもない人間が子供を育てていいのか、くるみちゃんはパパとママと離れてしまう事をどう思う

だろう、とか…。

 色んな事が僕の頭の中を駆け巡って、混乱してしまいそうになった。

「いいよ受け取りなさい、それに最初から一番面倒見てもらってた克哉に渡しちゃおうかな、って思ってたし」
「そ、そんなι」
「何だったらもう一人ぐらい作ってやろうか♪」

 さくらさんはあっけらかんとそう言うと、お腹が膨れるようなジェスチャーをして豪快に笑っていた。

「いいです!そっ…そんな事は絶対にしないで下さい!そんな…だけどιあの…旦那さんは…」
「決定権は私にある、私の決定は絶対だ」
「そう…なんですかι」

 なんとなく、この発言もそうだけど、さっきの蹴りと言い、このご夫婦の力関係が垣間見えたような気がした。


「ん…ぅぁ〜ん〜おりぇ、あきらしゃんとネンネするのォ〜///」

 寝ていたくるみちゃんがモゾモゾ動きはじめ、泣きながら起きてきた。

「僕と?くるみちゃんはいいのかな…久しぶりにママに会えたのに」

 小さな子供なんだから久しぶりに会えたママに甘えたいだろうし、それに…もうすぐ別れちゃうかもしれないし。

「ママ…おりぇのママは〜もうあきらしゃんなのぉ〜///」
「ほら、アタシよりもアンタに懐いてるみたいじゃない…おっぱい以外は…」

 そう…。

 僕にはおっぱいが無いから、もしかしたらくるみちゃんがおっぱいを欲しがっても僕はあげる事が出来ないんだ。

「あのね、僕がママになったら…もうくるみちゃんはおっぱいとバイバイしなきゃいけないんだよ」
「ぱ〜い〜…」
「僕は出ないからね…」
「小さいかりゃ?」
「ぇ!…ぅ…ぅん…そうかな///…だから赤ちゃんから卒業しなきゃね」

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